鏑川白鳥を守る会

高崎市南八幡地区を流れる「鏑川」(北緯36度16分20秒、東経139度3分25秒)に、飛来する白鳥たちに綺麗な環境で越冬してもらおうと、2007(平成19)年に会員250人で結成された環境保護団体『鏑川白鳥を守る会』(会長:高橋聡)の飛来数調査及び活動報告ブログです。

カテゴリ: 白鳥の生態

鏑川白鳥を守る会(平成25年度版)

 
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北帰行
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母鳥を待つコハクチョウ
 
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 平成26年鏑川のハクチョウは、1月11日に11羽が飛来して以来、3月2日には、今シーズン最高の52羽(この内、オオハクチョウ2羽)が越冬しました。
そして、3月9日にほとんどのハクチョウが北帰行で、シベリアへと旅立ちましたが、子どものコハクチョウが1羽(愛称:コウちゃん)だけで残ってしまいました。鏑川の岸辺では、親ハクチョウと離れてしまったのか、無事に北帰行できるのかと、大勢の人々が岸辺で心配そうに見守っています。
 
 
 
                 1羽で越冬、一週間目の「コウちゃん」     3月16日午前6時30分撮影 
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【ヒナ⇒幼鳥⇒成鳥】
ハクチョウは成鳥になるまでに3年を要します。シベリア極東北部で生まれて日本に飛来越冬してシベリアに帰り、繁殖地で幼鳥群で越夏し日本で2度目の越冬(亜成鳥)をしてシベリアに帰りようやく成鳥となります。(繁殖地と越冬地を2回往復して成鳥になる)
 
 
コウちゃん故郷へ帰る!
3月18日、1羽で越冬していたコウちゃんの姿がみあたりませんでした。
無時に北帰行の旅にでたものと思います。
ご声援ありがとうございました。
 
  鏑川白鳥を守る会 会長 箕輪 愃
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鏑川白鳥を守る会
 
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【ハクチョウの生態】
1 野生の動物は、警戒心が非常に強いが、一度安全だと知った場合は親しみやすく成ります。
2 一度ひどい目に会うとその場所を知っていてなかなか近寄りません。
3 家族がはっきりしていて、何時も一緒に行動します。
4 ハクチョウの体重は10㎏前後もありますので飛び立つときは滑走してから飛び立ちます。
5 着水の時は脚を前方に突出し、水かきで水面を押さえ翼でブレーキをかけます。
6 ハクチョウは外見から雌、雄の区別ができません。寿命は諸説あります
 
                      白鳥の着水              白鳥の飛び立ち
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【ハクチョウの飛来ルート】
 ハクチョウは一般的にシベリア(アジア大陸の北部の河川、湖沼)に生息し、56月頃産卵、ヒナをかえし、秋になると餌を求めてサファリン(カラフト)方面から北海道へ集結、10月頃からさらに南下して1月初旬に鏑川に渡ってきます。そして鏑川で冬を過ごし、3月中旬頃、また北海道に集結してから春の都ずれとともにシベリアへと渡って行きます。
                                                                                           
    オオハクチョウの繁殖地は、針葉樹の森が広がっている「タイガ地帯」
 コハクチョウの繁殖地は、凍っていた地表が夏季だけ湿原になる「ツンドラ地帯」
 
 ハクチョウが日本へ飛来するのは、越冬の為で、オオハクチョウは3,000km、コハクチョウは 4,000kmも日本から離れた北緯50度以北のシベリアから、日本へ約2週間で渡ってきます。越冬は、シベリアと日本の間をノンストップで渡って来る訳ではなく、何度も中継地で休みながら渡ってきます。
 そのコースは、カムチャツカ半島から千島列島を経て北海道へ渡るコースと、サハリンを経て北海道へ渡るコースがあります。
  
越冬地       :冬期間を通じてハクチョウ類を確認できる場所が越冬地。
飛来地(中継地):ハクチョウが飛来はするが冬季の一時期全く確認されないことがある場所。
 
稚内大沼  :北緯45度23分 東経141度46分
クッチャロ湖:北緯45度7分  東経142度20分
高崎市鏑川 :北緯36度16分 東経139度2分
 
【ハクチョウの生活】
家族単位でグループを作ります。
純白の成鳥(親)と灰色の幼鳥、亜成鳥(子ども)の家族はとても仲が良く強い絆で結ばれています。昼は川岸近くで餌を食べていますが、夜は野生動物などを恐れて川の中州等で寝ます。
食べ物は水草(アマモ)や水生植物(アシ、ガマ)の茎や根を、長い首を水中に入れ逆立ちの姿勢で食べますが、潜水はしません。
ここ鏑川に飛来しているハクチョウは、コハクチョウ、オオハクチョウで、遠くから長くて苦しい旅をして来て、この鏑川を越冬地として選んだのです。
 
            
                                鏑川で越冬をする白鳥
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                                            雪の中での給餌風景 
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【給餌活動の特色】
従来は、人間が野生の生物に餌を与える行為は良いことなのだと受け取られていましたが、近年では給餌に対する弊害が各種資料等により報告されています。その例として、「人間が栽培する野菜をハクチョウに与えたためにやがてハクチョウが栽培畑に入って荒らすようになった」とか「ハクチョウが餌を与える人を恐れなくなった」為に繁殖地に向かう途中で狩猟により命を落とすことになった。さらには、「給餌としてパン1枚をそのまま投げ込む」と、パンを取ろうと熾烈な争いが起こり、本来争わないハクチョウが争うようになった。等々様々な問題点が発生してきたのです。そこで、「鏑川白鳥を守る会」では基本的に『ハクチョウは自然の中で生きる』、という視点からハクチョウが自らの力で継続的に自然の中で食べ物を食べる採餌に配慮した給餌を心がけています。
 
採餌(さいじ) :ハクチョウが自ら餌をとること
給餌(きゅうじ):人間がハクチョウに餌を与えること
 
     「落穂拾い」と守る会の「給餌」について考える
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 フランスの自然画家ミレーの代表作に「落穂拾い」があります。この絵は三人の貧しい農婦が黙々と落穂を拾っている絵です。当初私は、この絵の意味を、米の大切さを教えるものだと思っていました。ところが、ミレーの「落穂拾い」の意味は違っているのだそうです。ミレーはキリスト教の思想にもとづいて「落穂拾い」を描いているのです。その思想とは、「穀物を収穫するときは、畑の隅まで刈り尽くしてはならない。収穫後の落穂を拾い集めてはならない。ぶどうも、摘み尽くしてはならない。ぶどう畑の落ちた実を拾い集めてはならない。これらは貧しい者や寄留者のために残しておかねばならない」と
言う考え方から来ているのだそうです。キリスト教では、神が弱い者のために、わざわざ落穂をつくったと考えているのです。これと同じ考え方は、仏教に、『生飯』(さば)と呼ばれるものがあります。これは、食事のときに一箸分のご飯を取り分けておいて、あとで野外に投げて、鳥や鬼神、餓鬼たちに供養するのだそうです。
『弱い者たちのために、自分の物を少し残しておいて与える。そこに、やさしい「心」が残るのです』私は、鏑川白鳥を守る会の箕輪会長の給餌活動等を見て、この考え方に通じるものを感じました。   「高崎市南八幡公民館長 高山泰一」

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