鏑川白鳥を守る会
ハクチョウQ&A
「ハクチョウ」とは、世界中にいる8種類のハクチョウの総称で、漢字の「白鳥」は、ハクチョウの和名です。
このうち、日本列島に飛来・越冬するオオハクチョウとコハクチョウの2種類の識別ポイントは、くちばしの黒色部と黄色部の形状の大きさです。一般的にくちばしの黒色部が額の羽毛部分(鼻孔が完全に黒色部に入る)にまでついているのが「コハクチョウ」で、ついていないのが「オオハクチョウ」です。
オオハクチョウ コハクチョウ
「オオハクチョウ」は、 くちばし全体の半分以上が黄色です。「コハクチョウ」は、黄色の部分が、くちばし全体の半分以下です。
オオハクチョウ コハクチョウ
Q ハクチョウの大きさは…!?
オオハクチョウは、全長140~165cm、翼開長・約250cm、体重8~12㎏、
コハクチョウは、 全長120~140cm、翼開長・約190cm、体重6~8㎏です。
Q ハクチョウの繁殖地は…!?
オオハクチョウの繁殖地はシベリア大陸のおおむね北緯50度以北(タイガー地帯)、コハクチョウはさらに北極寄りの北緯60度以北(ツンドラ地帯)です。そこで、毎年五月中旬ころから3~6個の卵を産み、約40日間で孵化させます。そしてヒナは親鳥に見守られ、水中の藻類やプランクトンなどを摂取しながら急速に成長し、9月末から10月初旬にかけて、日本各地の越冬地をめざし南下を始めます。北極に近い東シベリアから、カムチャッカ、北海道、東北地方の日本海側ぞいに 一ヶ月ちかくかけて飛んできます。
Q ハクチョウの繁殖期間は…!?
ハクチョウの繁殖期は、5月中旬~6月上旬で コハクチョウの親鳥は直径約1mの巣づくりをします。産卵は、直径約10cmの卵を3~6個。 孵化(ふか)日数は、約40日です。
そして、6月~7月にヒナが生まれ、ヒナは水辺に移動して親鳥に見守られながら餌(えさ)のとり方を学び、約3カ月後には飛べるまでに成長し、日本へと飛来して来ます。
そして、6月~7月にヒナが生まれ、ヒナは水辺に移動して親鳥に見守られながら餌(えさ)のとり方を学び、約3カ月後には飛べるまでに成長し、日本へと飛来して来ます。
Q ハクチョウは成鳥まで何年かかるの…!?
家族単位でグループを作り、このグループがたくさん集まって群れを形成しています。純白の成鳥(親)と灰色の幼鳥、亜成鳥(あせいちょう・頸 部のみに灰色が残る幼鳥)の家族がとても仲が良く強い絆で結ばれています。昼は川岸近くでエサを食べていますが、夜は野生動物を避けて川の中州で寝ます。
ハクチョウは「ヒナ」・「幼鳥」・「成鳥」と3年を要します。シベリア極東北部で生まれて日本に飛来越冬してシベリアに帰り、繁殖地で幼鳥群で越夏し日本で2度目の越冬(亜成鳥)をしてシベリアに帰りようやく成鳥となります。(繁殖地と越冬地を2回往復して成鳥になる)
ヒナ 幼鳥 亜成鳥
Q ハクチョウの飛来時期は…!?
日本列島にハクチョウが飛来するのは、コハクチョウが若干早く、その後にオオハクチョウが飛来します。
コハクチョウがシベリアの繁殖地(ツンドラ地帯)を出発するのは9月~10月です。そして、シベリアを出発したコハクチョウが幼鳥を連れて北海道の稚内大沼やクッチャロ湖に初飛来するのは2週間程後の9月下旬~10月初旬です。そこに1週間程度とどまり、その後、日本列島の各越冬地へと南下していきます。鏑川には、毎年12月下旬から1月初旬には飛来し、3月中旬頃まで越冬しています。
Q 越冬中のハクチョウの生活は…!?
家族単位でグループを作り、このグループがたくさん集まって群れを形成しています。純白の成鳥(親)と灰色の幼鳥、亜成鳥(あせいちょう・頸 部のみに灰色が残る幼鳥)の家族がとても仲が良く強い絆で結ばれています。昼は川岸近くでエサを食べていますが、夜は野生動物を避けて川の中州で寝ます。
Q ハクチョウの主食は…!?
ハクチョウは、通常湿地帯に自生する水生植物の根や茎や葉などを主食としています。(雑食性)日中のハクチョウは、採餌(さいじ)のために飛び立っていき、落穂(おちぼ)などを採食しながら、日没のころに一斉に「ねぐら」に帰ります。夏はシベリアの広い所で生息しているので足りますが、日本では自然の餌(えさ)が足りないので、不足した分をハクチョウの会の人たちがあげています。全国にハクチョウ飛来地と呼ばれる場所は五百カ所以上に及び、その過半数の場所で人の手による穀物やパンなどの給餌(きゅうじ)が行われ、その量はクッチャロ湖では一日1羽当たり100gを目途に餌(えさ)が与えられています。好きなものは、もみ、しいな、大麦、小麦、その他の雑穀類、パン屑、野菜では、大根葉、野沢菜、白菜、キャベツなどの葉物類です。
Q ハクチョウの飛翔速度は…!?
ハクチョウは4.000㎞離れたシベリアの繁殖地から約2週間で日本に飛来します。その飛翔速度は1日に約300㎞になります。時速は60km~70kmくらいで追い風では時速80km以上の速さで飛べます。また、上空の気流に乗ると時速100kmぐらいのスピードがでます。
Q ハクチョウは鳥目なの…!?
人間世界では、夜に目が見えないことを「鳥目」といいます。しかしハクチョウは人間世界でいう「鳥目」ではありません。採餌(さいじ)場からねぐらへ暗くなってから戻ることもあり、また北から飛来する時には真夜中でもその鳴き声から飛翔してきていることを確認できます。このことからも、ハクチョウは人間のいう「鳥目」ではなく、夜に暗くなっても目は見えているのです。
Q 群の先頭を飛ぶのはリーダーなの…!?
ハクチョウの飛行隊形はカギ状とサオ状がほとんどである。そして「飛翔している先頭が群のリーダー」と一般的には思われています。しかし、ハクチョウの飛翔を観察している専門家によると飛翔中の位置は常に変わっているので「先頭のハクチョウが必ずしもその群のリーダーと限らない」のだそうです。
Q ハクチョウの寿命は…!?
諸説ありますが、正確な記録が無いので確かな事は分かりません。しかし、一般的にハクチョウの寿命は野生で最長15年ほど、飼育状態では15年~20年ほどといわれています。
Q ハクチョウはなぜ水に浮く事ができるの…!?
ハクチョウの尾の部分に脂肪を出すところ(油脂線)があり、そこから出る脂肪を羽に塗って、防水しています。また、羽毛と羽毛の間に空気をためて浮き袋のようにしています。ハクチョウがいつも毛ずくろいしているのは、水に浮くために大切な事なのです。
Q 鳥インフルエンザって…!?
2007年冬から世界的に鳥インフルエンザの発生が懸念され、2008年には鳥インフルエンザに感染したオオハクチョウの死がいが発見されています。この鳥インフルエンザの中で問題となっている高病原性鳥インフルエンザは、H5NI亜型ウイルスで感染性が強く、ニワトリや七面鳥などの家禽(かきん)類に非常に高い死亡率をもつものです。この高病原性鳥インフルエンザは、七面鳥やニワトリなどには感受性が強いが、カモなどの水禽(すいきん)類は抵抗性が高く強毒なウイルスに感染しても顕著な症状が現れないのだそうです。要するにニワトリなどはすぐに死亡するが、カモ類は感染しても症状が現れにくいということです。特にカモ類は、呼吸器よりも腸管下部でインフルエンザウイルスを増殖させるため排泄(はいせつ)された糞(ふん)にインフルエンザウイルスが含まれている可能性が高いと言えます。このために、給餌(きゅうじ)場では「糞(ふん)を踏まないように」そして「履物をこまめに消毒する」必要があります。
Q ハクチョウに餌を与える上での配慮は…!?
従来は、人間が野生の生物に餌(えさ)を与える行為は良いことだと受け取られていましたが、近年では給餌(きゅうじ)に対する弊害が各種の資料等により報告されています。その例として、「人間が栽培する野菜をハクチョウに与えたためにやがてハクチョウが栽培畑に入って荒らすようになった」とか「ハクチョウが人を恐れなくなった」為に繁殖地に向かう途中で狩猟により命を落とすことになった。さらには、「給餌(きゅうじ)としてパン1枚がそのまま投げ込まれる」とパンを取ろうと熾烈(しれつ)な争いが起こり、本来は争わないハクチョウが争うようになった等々の様々な問題が発生しているのだそうです。そこで、「鏑川白鳥を守る会」では基本的に『ハクチョウは自然の中で生きる』、という視点からハクチョウが自らの力で継続的に自然の食べ物を食べる採餌(さいじ)に配慮した給餌(きゅうじ)を心がけています。
給餌(きゅうじ):人間がハクチョウに餌(えさ)を与えること。
採餌(さいじ) :ハクチョウが自ら餌(えさ)をとること。
Q ハクチョウの種類と体の黒い「コクチョウ」について教えて…!?
ハクチョウの仲間は世界中に8種類(7種1亜種)です。北極に近い地方で繁殖しているオオハクチョウとコハクチョウ、さらにアメリカコハクチョウ(亜種)、北アメリカの一部に住むトランペッタースワン(ナキハクチョウ)、南アメリカのアルゼンチンやチリに住むクロエリハクチョウと一番小型のカモハクチョウ、ヨーロッパに広く住み、皇居のお堀にも放鳥されているコブハクチョウです。そしてオーストラリア大陸北部に住む体も足も黒色のコクチョウです。
このうちの「コクチョウ」は、全長約1.2メートル。体形はハクチョウに似ているが,全体の羽色が黒色で,くちばしが赤い。オーストラリア南部とタスマニア島原産で、動物園や公園でよく飼育されており、渡り鳥ではないので日本の川で見られるのは、飼育されたものが逃げ出して繁殖したものです。
【亜種】 あ しゅ
生物分類上(科、属、種、亜種)の一階級で、種の下の階級。種として独立させるほど大きくはないが、変種とするには相違点の多い一群の生物に用いる。例えば,北海道のキタキツネはキツネの亜種である。ただし,種と亜種とを分ける明確な基準はない。